天の岩戸

「誓ひ」と書いて、なんと読むかわかりますか? 答えは、「うけひ」と読みます。聞いたこともないという方が圧倒的に多いでしょう。この言葉は、『日本書紀』に登場する単語です。天昭特規電が、弟である須佐之男命のたび重なる乱行に怒り、天の岩戸に隠れてしまい、この世は真っ暗になりました。それで、須佐之男命が天照大神に岩戸を開くように懇願し、誓約しました。このときの誓約が、「誓ひ」という言葉で表されています。

 

 

そして、実践療法での「誓ひ」は、「誓約の誓ひ」と「祈願の誓ひ」の二つで構成しています。前者の「誓約の誓ひ」とは、自分の短所や弱点についての反省を誓約していくもの。後者の「祈願の誓ひ」とは、自分自身の目的に対して祈願していくものです。それぞれの具体的な内容は次項に譲りますが、ともに自分の決意を具体的な言葉として書き記し、それらを心に誓うことによつて、決意を固めていく療法です。自分が漠然と抱いている「こうなりたい」とか「こうしたい」という意識を明確にし、毎日祈りつづける。それは潜在意識を顕在化させることになり、自己啓発や自己改革へとつながつていきます。さらに、決意表明が達成できれば、心の安定や自信も生まれてくるのです。初めに、「誓ひ」という決意表明を確固としたものにするために、祈りを形で表すことから始めます。ここでの祈りとは神仏に対するものではありません。自分自身への祈りだと考えてくださいみなさんの心にまず思い浮かぶのは「苦しい症状から脱したい」という思いではないでしょうか。それでもOKです。その思いを明確に言葉にして書いてみましょう。「必ず病気を克服する」「心身ともに健康になる」……。そして、毎日祈ってください。また、当事者だけでなく、周りで協力したいと願っているご家族が同様に実践することも大事です。「私はどんなことがあっても、娘を見守りつづけていく」「子どもの症状が一刻も早く改善できるように守る」など、毎日唱えてください。人によっては、「何をバカなことを」と思うかもしれません。しかし、毎日欠かさず真剣に願い、祈りつづけていれば、確実に心の状態が変化していくことを実感できます。


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